地球温暖化問題への対策として、世界的にCO2排出量を削減することへの重要性が高まる中、企業の取り組みもここ数年で大きく変わってきています。自社だけでなく、サプライチェーン全体で削減目標を立てる企業も増えています。環境省では、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の事業活動の流れ全体から発生する温室効果ガス排出量を「サプライチェーン排出量」と定義していて、サプライチェーン全体で削減に取り組むことで、削減チャンスなどが広がるとうたっています。
実際、当社でも荷主様からのCO2排出量データの提出や、削減の取り組み協力を求められることが増えてきています。
今回は、CO2排出量削減につながる物流サービスで効果が大きいと期待される鉄道貨物輸送についてお届けします。
CO2排出量削減につながる物流サービスとして、トラックや航空以外の輸送モードに転換するモーダルシフトに関心が集まっていて、鉄道による貨物輸送が注目されています。物流業界で懸念されるトラックドライバー不足問題にも、輸送能力がトラックより高い鉄道貨物輸送は、解決の手段の1つになると期待されています。
下の図は、鉄道貨物輸送の主な特性を表した2つのデータです。
CO2排出量や輸送能力において、トラックなどと比較すると、より効率的な輸送手段と言えます。
※国土交通省 鉄道物流を取り巻く現状及び検討会資料より作成
鉄道貨物輸送の基礎情報をご紹介します。
大きな期待がある反面、課題もあります。
鉄道貨物輸送の特性である、大量輸送・低環境負荷への期待等から、国としても鉄道貨物を重要な輸送モードと位置づけ、今年3月に、政策のあり方を検討する有識者検討会「今後の鉄道物流の在り方に関する検討会」を設置しています。同年7月には「変化し続ける社会の要請に応える貨物鉄道輸送の実現に向けて」という中間とりまとめを発表しました。
検討会では、鉄道貨物輸送を3つの視点から見た14の課題と今後の取り組みの方向性ということで提言をまとめています。
先述の課題についても対策が記載されていますので、ご興味がありましたらこちらからご覧ください。
国土交通省「鉄道:今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」
(https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk5_000016.html)
(執筆は2022/9/21時点で、情報は変わる可能性があります)
次項では、当社の関連物流サービスをご紹介します。
~まずはモーダルシフトの検討材料が欲しいという企業様へ~
気候変動への取り組みとなるCO2排出量削減への対応として、トラックや航空以外の輸送モードに関心が集まり、鉄道による貨物輸送が注目されています。物流業界では、トラックドライバーの高齢化や、2024年度から適用される時間外労働の罰則付き上限規制などにより、深刻なドライバー不足が懸念されていますので、車両1編成の輸送力がトラックより高い鉄道貨物輸送は、ドライバー不足解決を図る手段として期待されています。
当社では、貨物の鉄道輸送を検討される企業様向けに、鉄道貨物輸送の振動再現試験サービスを開始しました。
鉄道輸送における製品損傷の検証のほか、過剰な包装をしていないかを確認することが可能な為、包装材削減といった環境負荷低減にも繋がります。
【本サービスの概要】
・JIS Z 0232:2020に準拠した振動再現試験を提供します。
・データロガーにより実際の輸送波形を取得、そのデータを振動試験機にダイレクトに入力することにより、実際に発生する振動・衝撃を再現することが可能です。
・実際の輸送経路の試験スケジュールを組むことにより、最適な輸送評価試験を提供します。
・また、JIS E 4031:2013を拠り所にした加速試験(レベルアップ-試験時間短縮)を行う事により、評価の効率化を行う事ができます。
【基本システム】
■データロガー
振動・衝撃・落下波形データ記録
■振動試験機
振動盤寸法:1,200×1,200(mm)
最大搭載質量:380kg
■再現データ
トラック輸送(高速道路、一般道)
鉄道貨物輸送(福岡-熊谷間)
※ 随時データを取得、解析中
~早速、物流で検討されたい企業様へ~
現状のトラック輸送から鉄道輸送に輸送モードを変える(モーダルシフト)ことで、CO2排出量の削減効果があります。出荷元から指定納品先まで、トラック輸送・鉄道輸送を組合せ、お客様のご要望に合わせた最適ルートを提案します。
低い積載率の貸切便で輸送している場合、混載便をご利用頂くことで、CO2排出量の削減に効果があります。
当社のネットワーク便は、重量物や精密機器の混載輸送が可能です。精密機器を混載輸送する場合、通常は木枠梱包などが必要となりますが、当社のネットワーク便をご利用頂くと、簡易梱包で混載できます。