目次
シンガポールで今、倉庫アウトソーシングをすすめる理由
シンガポールは、外国資本企業を誘致する政策でエレクトロニクス産業を振興させ、さらに知識集約型産業の開発戦略を展開し、ASEAN*における物流・金融のハブ拠点としての地位を築いてきました。
シンガポールは、法人税率の低さや各種優遇税制、ASEAN6.8億人市場への足掛かりとなる位置づけであることなど、同国へ進出するメリットは数多くあると言えます。
今回は、そうしたシンガポールにおいて、倉庫アウトソーシングをおすすめする理由を、倉庫事業環境の課題からひも解いてお届けします。
*ASEAN(Association of Southeast Asian Nations):東南アジアの地域協力機構
シンガポール基礎情報

出所:シンガポール共和国「基礎データ」(外務省)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/index.html)を加工して作成
急速に押し寄せる高齢化の波

シンガポールでは、急速に高齢化が進んでおり、2030年までに65歳以上の割合が25%と世界最高水準に達することが見込まれています。
同国は、2019年に法定定年年齢と再雇用年齢を段階的に引き上げる方針を発表しています。2030年までに、法定定年年齢は65歳へ、再雇用年齢は70歳まで引き上げる方針です。
シンガポールでは雇用主に高齢者の再雇用を義務付けています。2012年に退職再雇用法(Retirement and Re-employment Act)を制定し、雇用主に対してシンガポール国民または永住者で業績や健康上の問題がなく、本人が再雇用を希望するなど一定の条件を満たす労働者に再雇用を申し込むことを規定しています。同国の政労使(政府・労働組合・使用者)では、再雇用する高齢労働者の適格条件や労働条件、事業主に課す雇用補助一時金などのガイドラインを示しています。

出所:「海外情勢報告」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/#title8)を加工して作成
外国人の雇用規制強化
シンガポール国民の雇用を確保するため、外国人労働者の受入を抑制するといった雇用規制強化が行われています。
シンガポールでは、すべての外国人労働者は就労ビザを取得しなければなりません。その就労ビザごとで、企業が雇用できる外国人労働者の雇用上限率が定められており、これまで段階的に引き下げられてきました。
以下の表で、就労ビザの種類別に、概要と雇用上限率、外国人雇用税、有効期間を掲載しています。

出所:「海外情勢報告」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/#title8)を加工して作成
上昇する倉庫運営コスト
現在、シンガポールでは、需給ひっ迫による賃貸相場の高騰が見られます。
経済活動再開に伴うオフィス需要増、シンガポールへ本社を移転する企業増加、新型コロナウィルス対策緩和により同国へ戻る外国人居住者の増加などで需要が伸びています。しかし、建設作業者不足での新規建設遅れなどにより、供給が需要に追い付いていません。また、オフィス賃料だけでなく、人件費、光熱費なども上昇しており、事業コストは企業にとって大きな負担となっています。

倉庫アウトソーシングのメリット・デメリット
頼りにしてきた従業員の高齢化が進んでいるが継承者がいない、手順書が整備されていないので引き継げない、といった課題や、倉庫監督者・作業者の採用に工数がかかっている、日々変動する業務内容への対応で時間がかかっている等、ご苦労されている企業は多いと思います。
ここでは、倉庫を自営からアウトソーシングされる場合の主なメリット、デメリットをご紹介します。
ここまででお伝えしてきた課題の解決方法の1つとして捉えて頂ければと思います。
【メリット】
・自社のコアとなる業務への資源集中が可能となる
・固定費の変動費化で財務体質強化に繋がる
・短期的な荷量増減や中長期的な変化への対応力を向上できる
・物流専門会社のノウハウ活用で、物流コスト低減や物流品質向上が期待できる、など
【デメリット】
・導入部署での人員削減に伴うモラル低下
・契約業務以外の業務対応が困難になり物流サービス低下の懸念、など
アウトソーシングを検討する際、事前に外部へ委託されたい業務内容の詳細・手順書などを整備し、詳細分析(データ分析、詳細現地調査)を行って判断材料を揃えていく必要があります。物流会社には、当社を含め事前の分析・評価が出来る会社がありますので、そうした企業にコンサルティングの見積依頼をしてみるとよいと思います。
(執筆は2022/11/29時点で、情報は変わる可能性があります)
当社では、在シンガポール日系企業の経営層から、従業員の高齢化対策としてのアウトソース検討を相談されたことがありました。人件費高騰も続いており、自前の倉庫運営ではご苦労されている企業様も多いようです。
また、コロナ禍ロックダウン時に、エッセンシャルなサービス(食品、エネルギー、情報通信、インフラ事業等に関する必要不可欠なサービス)を行う企業以外で免除対象となる特定産業に認定されなかった部品メーカーが、企業活動の制限を受け、倉庫から物を出せなくなったことがあったと聞いています。
次項で当社シンガポールの倉庫サービスの強みとサービス概要をご紹介します。
在シンガポール企業様や、これから進出を検討している企業様、シンガポール国内で倉庫移転を検討されている企業様などに向けた物流サービスです。
この情報が少しでもお役に立てれば幸いです。
シンガポール社物流サービスのご紹介
倉庫サービス
シンガポールは、1980年代以降、これまでの労働集約型の輸出工業化政策から、高付加価値産業への政策転換を行うようになり、1990年代以降、半導体においても組み立て等の作業からウエハ製造やIC設計といった高付加価値な活動にシフトしていきました。当社はそうしたエレクトロニクス産業集積地となったシンガポールに1999年、法人を設立し、当時、NECグループで半導体事業を担っていた旧NECエレクトロニクス様をはじめ、日系の半導体・電子部品メーカー様、商社・販売代理店様を支える物流業務を提供して、現在に至ります。
【倉庫ロケーションと概要】
半導体・電子部品倉庫サービス
これまでの経験で培った半導体・電子部品等精密機器の取り扱いで求められる高品質な倉庫オペレーションを提供しています。
温湿度管理や静電対策に加え、TAPA*(Class A)認証を取得した倉庫施設でセキュリティ設備も完備。ITやハンディターミナルによるOCR*機能を駆使した品質保持や各種指定ラベル発行等、お客様のご要望に応えます。
このようなお悩みはありませんか?
・品質やセキュリティ面で安心な倉庫に業務をアウトソースしたい
・エンドユーザーからの納入条件(各種指定ラベル)の対応が難しい
・非居住者運用にて在庫を集約し、ASEANへ効率的に供給したい
当社の倉庫サービスは、お客様のお悩みを解決します。
*TAPA(Transported Asset Protection Association):輸送資産保護協会。このTAPAによる基準は、世界中で警備、安全の実践手法における最高峰のガイドラインとして知られている
*OCR(Optical Character Recognition):光学文字認識

非居住者在庫オペレーション
非居住者在庫オペレーションは、シンガポールに会社を持たない企業(非居住者)が島内に資産を持ち、国内外に調達販売を行うオペレーションです。当オペレーションを活用することで、グローバル在庫の適正化、グローバルロジスティクスの効率化、販売機会の増大といったメリットが見込めます。お客様のニーズに合わせ最適なスキームで、非居住者オペレーションをご提供します(一部NXグループ施設利用)。シンガポールから再輸出が前提の場合、GST(Goods & Services Tax )支払免除が可能です。
【スキームと概要】

国際輸送サービス
NXグループのネットワーク網により、最適な国際輸送とシンガポールを中心とした域内ハブ機能が提供可能です。【おすすめポイント】

◇空港・港
・ハブ空港としての豊富な路線網
・24時間運用で緊急出荷にも対応可能なチャンギ国際空港
・世界トップクラスのコンテナ取扱量の貿易港
◇地理的優位性
・主要アジア都市を約3時間でカバーする立地(航空輸送)
・アジア域内の港まで約1週間以内でカバーする立地(海上輸送)
※記事の内容は掲載当時のものです。