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異常気象と物流

目次

    異常気象と物流

     近年、自然災害が頻発化・激甚化しています。6月、気象庁が「エルニーニョ現象が発生しているとみられる」と発表しましたが、エルニーニョ現象は異常気象を引き起こすと言われていることから、今年の気象が気になる方も多いと思います。
     今回は、気象庁等のデータ・資料から異常気象と、さらに異常気象に対応する物流にまつわる取組みについてお伝えします。どうぞ最後までお付き合い頂けますようお願いいたします。

    補足:気象庁では、最高気温が35℃以上の猛暑日や1時間の降水量が50mm以上の強い雨等を「極端現象」と定義していますが、この記事では「異常気象」という言葉を用いております。

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    2023年の気象

     今年の気象はどうなるのでしょうか。
     
     6月に気象庁は「エルニーニョ監視速報」 で、エルニーニョ現象が発生していると見られる・秋にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90%)と発表しました。
     エルニーニョ現象とは、南アメリカのペルー沖の海面水温が平年より高くなり、その状態が 1 年程度続く現象です。反対にラニーニャ現象というものもあり、ラニーニャ現象は海面水温が平年より低くなる現象です。このエルニーニョ/ラニーニャ現象が発生すると大気の流れが変化するため、世界中の気象に影響を及ぼします。今回のエルニーニョ現象の発生は、前回の2019年から4年ぶりになりますが、世界では、基準値との差が+2.0℃を超える「スーパーエルニーニョ」が懸念されています。

     以下のグラフの赤がエルニーニョ現象が発生した期間になります。2015年を見て頂くと、基準値との差が突出して高いことが分かります。この年は、世界各地で異常気象が頻発しました。ヨーロッパ、インドでは猛暑、アメリカでは大規模な山火事、ミャンマーやチリでは豪雨による洪水が発生しました。日本では、記録的な豪雨で鬼怒川の堤防が決壊する「平成27年9月関東・東北豪雨」や、九州南部・奄美地方を中心とした「梅雨前線及び台風第9号、第11号、第12号による大雨」が発生しました。

     エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差(℃)

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    出所)気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象」(https://www.data.jma.go.jp/cpd/elnino/

     次から、エルニーニョ現象発生時の世界と日本の天候の特徴をご紹介します。

    世界の傾向

     エルニーニョ現象は世界で高温や、地域によっては干ばつ、大雨といった異常気象をもたらしてきました。エリアによって発生する気象現象は異なりますが、高温になると言われます。

     エルニーニョ現象発生時の6~8月(北半球の夏)の天候の特徴

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     エルニーニョ現象発生時の12~2月(北半球の冬)の天候の特徴

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    出所)気象庁「エルニーニョ現象発生時の世界の天候の特徴」(https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/tenkou/sekai1.html

     次は日本への影響です。

    日本への影響

     日本では、夏季は、太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低くなって冷夏になると言われています。降水量は、西日本の日本海側で多くなる傾向があります。冬季は、西高東低の気圧配置が弱まり、気温が高くなり暖冬、降水量は東日本の太平洋側と沖縄・奄美で多くなる傾向にあります。

    2023年の日本の夏は?

     特にこの夏は、エルニーニョ現象により太平洋高気圧が東に動く為、台風が日本を通過しやすいことと、上昇した海面水温によって台風が一層発達して大型化しやすくなること等から、極端な気象現象の発生に注意が必要と思われます。
     2023年は特に事業上のハザードマップ確認、自社のBCP(事業継続計画)の点検など、異常気象への備えをしておくことが重要と言えます。

     また、エルニーニョで日本は冷夏になる、とお伝えしましたが、今年は、2022年まで発生していたラニーニャ現象の影響が残っていると言われ、この夏、気温が上がることも予想されていますので、熱中症の対策も重要です。

     こうした異常気象の備えの1つとして、情報収集も重要になってきます。
     
    次は、気象情報入手先をご紹介します。

     

    異常気象に関する気象情報の入手先

     発生前や発生中に、地理的条件に即した情報にアクセスして最新情報を入手することも大切です。国土交通省や気象庁が無料で公開しているWEBサイトをご紹介します。各サイトの利用上の注意事項をご確認の上、活用いただければと思います。

    ◇国土交通省「川の防災情報」(https://www.river.go.jp/index

    川の状況を様々な切り口から日本地図上で調べることが出来ます。
    関連して気象や雨量などの情報もあり、また、防災に関する他の省庁のサイトリンクがあって便利なWEBサイトです。

    ◇気象庁「あなたの街の防災情報」(https://www.jma.go.jp/bosai/#pattern=default
     ※広告が表示されます。

    気象警報・注意報、早期注意情報、大雨危険度、危険度分布(キキクル)台風情報、気象情報、記録的短時間大雨情報、熱中症警戒アラート、指定河川洪水予報など、盛りだくさんの気象にかかわる情報が日本地図上で確認できます。(一部、上記国土交通省のサイトと重複があります)

     エルニーニョ現象との直接的関係は完全に解明されていませんが、こうした気象の事象は、世界的な地球温暖化の進行と合せて、気候変動に大きな影響を及ぼしていると言われています。気候変動は、豪雨災害や猛暑と言った気象災害の増大につながる可能性があると言われています。

     次は、近年、頻発化・激甚化する自然災害についてご紹介します。

     

    異常気象による災害が頻発化・激甚化する状況

     日本では近年、甚大な被害を発生させる災害が増えています。以下の表に示したものは、近年、特に被害が大きかった過去の豪雨災害です。河川の氾濫、浸水害、土砂災害等が発生し、甚大な人的・物的被害を出した災害でした。また、鉄道や航空の運休、道路の寸断といった物流インフラの障害も多く発生しました。
     先ほどのエルニーニョ現象が発生した期間とぴったり重なるわけではありませんが、発生期間に近い時期で起こった災害となります。

     近年の主な豪雨災害による被害

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    出所)データ:国土交通省「国土交通白書2021」(https://www.mlit.go.jp/statistics/index.html)、概要:気象庁「災害をもたらした気象事例」(https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/index.htmlを基に作成


    豪雨の状況

     ちなみに、豪雨の発生回数は年々増加しています。

     1時間あたりの降水量50mm以上のデータを見ますと、最近10年間(2013~2022年)の年間平均回数は約328回で、アメダス統計期間最初の10年間(1976年~1985年)の年間平均回数約226回と比べて、約1.5倍増加しています。こちらのグラフには入っていませんが、降水量80mm/h以上や100mm/h以上といった、より強度の強い雨のデータでは、増加率が1.8~2.0倍とさらに大きくなっています。

     雨の強さと降り方は以下の表をご参考にされてください。

     短時間強雨(50mm/h以上)の発生回数

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    出所:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html)を基に作成


     雨の強さと降り方

    202306_topix6

    出所:気象庁「予報用語」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html)を基に作成


     最後に、異常気象に対応する物流の取り組みをご紹介します。


    物流と異常気象

     増加する自然災害への対策として、災害に強い道路ネットワークの構築、各交通施設の耐災化や緊急輸送体制の確立を図ることにより、多重性・代替性を確保する取り組みが進められています。
     以下では、各交通インフラでの取り組みをご紹介します。

    (1)鉄道

     民間企業が行なう防災事業等に対し、その費用の一部を助成している。
     また、鉄軌道の安全確保を図るために点検、監視の適切な実施にも力を入れている。被災した鉄道の復旧支援においても費用の補助等を行っている。

    (2)港湾

     2017年6月、非常災害時における港湾管理者からの要請に基づき、国が港湾施設の管理を行う制度が創設された。また、大規模災害時に港湾機能を維持する為、防災訓練の実施や港湾BCPの改善、港湾における災害関連情報の収集・集積の高度化を行っている。

    (3)空港

     ハード面では耐震・浸水対策を推進し、ソフト面では空港アクセス事業者を含めた関係機関による「統括的災害マネジメント」を運用している。このマネジメントの考え方を踏まえて各空港で策定された空港BCPを運用している。また、主要空港(※)が被災して機能不全に陥った場合を想定した「主要空港が被災した場合の代替輸送実施のための連絡調整ガイドライン」が策定されている。
     (※)国際航空貨物輸送の主要空港である4空港(成田国際空港、東京国際空港、関西国際空港、中部国際空港)

    (4)陸送

    ①道路
     道路の防災対策として斜面・盛土対策、耐震補強、防雪施設の整備、道の駅及びサービスエリア・パーキングエリアへの防災機能の付加の推進、そのほか無電柱化等が推進されている。

    ②トラック貨物運送
     国土交通省は、2020年2月に、台風等の異常気象時における輸送の在り方の目安を定めた通達を出した。この通達では、輸送の目安及び輸送を中止した場合の対応等について設定されており、輸送の安全確保とトラックドライバーの生命や身体を守り、持続的な物流機能維持に寄与する目的としている。
     以下は異常気象時における措置の目安。
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    出所:国土交通省「輸送の安全を確保するための措置を講じる目安の設定」(2020228日報道発表資料)(https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000210.html

     

    出所:国土交通省「国土交通白書2022(https://www.mlit.go.jp/statistics/index.html) 、国土交通省「主要空港が被災した場合の代替輸送連絡調整メカニズムの構築のための調査」(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_fr2_000026.html)を基に当社作成


     以上、異常気象と物流についてお届けました。

     

     (執筆は2023/6/29時点で、情報は変わる可能性があります) 

     当社でも、災害発生時に事業を継続・復旧するためのBCP(事業継続計画)を定めております。これまで、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症等の災害やパンデミックの事態において、物流の復旧・継続を経験してきました。
     次からは、当社の基本的な物流ソリューションについてご紹介いたします。

     

    当社の物流ソリューションのご紹介


    国内外一貫物流

    こんなお悩みはありませんか?

     ・貿易や税関手続きが複雑で手間がかかる
     
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    お客様のグローバルなビジネス展開を支援するために、当社の国内外の物流拠点とNXグループのアセットを活用し、様々な輸送モードを組み合わせた最適な国内外一貫物流サービスを提供します。複雑化したサプライチェーンの単純化・見える化を、調達から販売物流まで一貫したサービスにより実現します。

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     国内外一貫物流から、今回は、国際輸送と通関業務をご紹介します。

    国内外一貫物流:国際輸送

     NXグループのグローバルネットワーク、当社が長年培ってきた“ものづくり”と連動した国内輸送ネットワークを組合せ、サプライチェーン全般にわたる在庫や輸送状況を見える化し、お客様に最適な国内外一貫の輸送サービスを提供します。

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    国内外一貫物流:通関業務

     当社は、2012年に東京税関長より認定を受けたAEO事業者です。AEO(Authorized Economic Operator)は、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者に対し、税関手続の簡素化やセキュリティに関連する優遇等の便益を付与する制度のことです。

     お客様に代わり、貨物のセキュリティ管理と法令順守体制で、スムーズかつ安心・安全な通関サービスを提供します。
    ※当社は1992年に財務大臣から許可を受けた「通関業者」です。

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    全国輸送ネットワーク便

     当社のネットワーク便は、重量物や精密機器の混載輸送が可能です。精密機器を混載輸送する場合、通常は木枠梱包などが必要となりますが、当社のネットワーク便をご利用頂くと、簡易梱包で混載できます。

     

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    ネットワーク便 事例ご紹介:国内輸送網の設計・構築・運用提案

    当社で輸送網の設計、構築、運用まで携わらせていただいた事例をご紹介します。

    お客様の課題
     ①都度チャーター便手配だと事務工数およびコスト負担が重い
     ②運行状況の確認が煩雑
     ③2024年問題による長距離輸送の確保難に備えたい

    当社の提案
     ①電機精密機器との混載便による従量制料金体系
     ②定時・定ルートによる安定運行
     ③当社独自+NXグループの輸送ネットワークで輸送力を確保

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    精密機器向け包装設計、評価試験

     包装貨物・包装材料試験をはじめ、製品自体の強度測定を行う自社施設「品質評価センター」で、充実した最新試験設備を使用し、製品や包装が保管や輸送時に受ける外力と、それに対する耐性をお客様に代わって評価します。また、評価に加え、製品に合った最適な包装設計も提供します。
     当社の強みは、コンサルティング、包装設計、試作、評価試験までを自社内で行い、資材販売まで含めたサービスをワンストップで提供できることです。設計⇔試作⇔評価 を自社で対応するため、リードタイム短縮が可能です。

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     このほか、様々なソリューション・事例がございますので、ご興味がありましたらお気軽に当社営業、または当WEBサイトの「お問合せ」よりご連絡いただけましたら幸いです。

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