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航空業界編|カーボンニュートラルに向けた動き

2023.10.31

目次

    航空業界編|カーボンニュートラルに向けた動き

     地球温暖化に繋がるGHG(温室効果ガス)排出を減らす世界的な動きとしてGHG排出量の上限規制だけでなく、開示義務や排出量取引の開始、また企業だけではなく製品個別への開示義務も導入されようとしています。
    この動きは、荷主企業様のScope3における「物流」に関しても事業活動に関わりが深いものとなります。

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    出所)環境省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム)」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html

     当ニュースレターでは、10月号、11月号の2回にわたり、物流(航空業界、海運業界)に関連したGHG排出量削減に向けた業界の動きをお伝えします。

     

    CO2排出量削減目標の設定(中期目標)

     国際航空のCO2排出量の削減目標は、国際民間航空機関(以下、ICAO)が目標を定めています。これまでも2010年、2013年のICAO総会において、CO2排出削減に関わる中期目標として、「2020年以降のCO2排出量を増加させない」「年平均2%の燃費向上」が採択されました。
    また、その目標達成の手段として、以下が示されています。
    ①新技術の導入(新型機材等)
    ②運航方式の改善
    ③持続可能航空燃料の活用
    ④市場メカニズムの活用(排出権取引)
    ①~③の活用を行っても不足する部分については、④の市場メカニズムを活用して対応することとなります。

    市場メカニズムの活用:CORSIA(コルシア)の導入について

     市場メカニズムの活用は検討が進み、2016年のICAO総会において、国際航空のカーボンオフセット制度(CORSIA)の導入が決まりました。 2021年(2021年~2023年は実証フェーズ)からCORSIAの運用が開始されています。
    CORSIAとは、国際線を保有する航空会社が、運航によって発生するCO2排出量を算出し、排出量が2019年の排出量を基準とするベースラインを上回る場合には、その超過分に相当する排出枠を購入する必要が生じるという仕組みです。

    最大離陸重量5,700Kg以上の航空機の国際線運航者を対象に以下を義務化しています。

    〈CORSIAの対象範囲〉
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    ※カーボンオフセットの活用は、ベースラインより増加した排出量を各運航者に割当し、運航者は炭素クレジット又は持続可能な航空燃料等を用いて割当量を相殺する

    CO2排出量削減目標の設定(長期目標)

    CO2排出量の削減について、中期目標は採択されましたが、長期目標の設定が行われていなかったことから、2022年のICAO総会において、国際航空分野で「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」脱炭素化長期目標を採択、2035年までの取組について「オフセット量算定の基準となるベースラインを2019年の85%に変更」すること等を決定しました。
    ベースラインについては、従来は2019年単年をベースラインとしていたものからの変更となります。

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    出所)国土交通省 「航空機運航分野におけるCO2削減に関する検討会」(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk8_000004.html

     カーボンニュートラルに向けた航空業界の大きな流れとしては、ICAOが定めたCO2排出量削減目標になりますが、各国でもCO2排出量削減に向けた動きは加速しています。
    航空業界のカーボンニュートラルの動きが活発になる中で、日本に目を向けると官民が連携した取り組みが進められています。

    航空脱炭素化に向けた官民一体の取り組み

    持続可能な航空燃料(SAF)の導入推進
    持続可能な航空燃料として、SAF(Sustainable Aviation Fuel)の利活用が進められており、SAFは航空分野の切り札といわれています。SAFとは、植物や廃油などから作ったバイオ燃料で、従来の原油からつくる燃料と比べて、CO2排出量を約8割程度減らせるとされています。日本国内では、2030年時点のSAF使用量の目標を、本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換えると設定されました。
    カーボンニュートラルの実現に向けてはSAFの調達が重要であり、現状、SAFの調達は輸入に頼らざるを得ない状況にありますが、国産SAFの導入に向け以下を進めています。
     ・国際競争力のある国産SAFの開発、製造の推進(製造コスト、製造量、導入時期など)
     ・国産SAFのCORSIA適格燃料として登録/認証取得
      ※ICAO CORSIAの枠組みでGHG削減効果のあるSAFとして登録、認証取得が必要
     ・サプライチェーンの構築
     ・空港におけるSAF等の代替燃料の使用に係る安全性確保
     ・国産SAF活用のための空港のSAF受入施設・設備等の導入支援
     

    また、航空機産業は、国としてGX実現に向けた方針の中に含まれており、SAFの製造技術開発等に向け国としても官民投資が進められています。

    〈GX実現に向けた基本方針:航空機産業〉

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    出所)経済産業省「「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました」(https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002.html

    機材・装備品等への新技術の導入

     新技術の導入では、燃費の良い機材や低炭素化技術の普及促進が図られています。
    日本企業は、彼らが持つ優れた環境新技術の実用化に向け、産官学でタッグを組み、戦略的に安全基準・国際標準等の議論に関与しようとしています。また、 国としても国際標準化団体の国際会議等へ参画し、新技術の社会実装を推進しています。


    〈低炭素化技術の研究開発・普及促進例〉

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    ※今後、電動航空機や水素航空機など、様々な形態の航空機の技術開発が見込まれるところ、日本としてはこれまで強みとしてきている赤枠を中心にさらる拡大が重要となるとされている。

    出所)国土交通省 「航空機運航分野におけるCO2削減に関する検討会」(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk8_000004.html

    管制の高度化による運航方式の改善

     新技術を活用した運航改善施策については、ICAOが2040年までの方向性や行動計画を「世界航空交通計画 (GANP:Global Air Navigation Plan)」で示しています。
    日本は、この計画と調和を図り、最終的な2040年の最適運航の実現に向けて改善策を推進します。運航効率の改善策としては、「航空交通全体に対する方策」と「運航フェーズごとの方策」があります。

    【航空交通全体に対する方策】
     ・精緻な時間管理による円滑な交通流の実現による航空交通全体の最適化を図るため、空域容量の拡大(取扱可能機数の増加)と時間管理による交通流の最適化

    【運航フェーズごとの方策】
     ・航空路:迂回の少ない飛行ルート及び高度・経路の選択自由度の向上
     ・出発・到着:燃費の良い上昇・下降の実現及び就航率の改善
     ・空港面:アイドリング時間の削減、地上走行経路の最適化

    具体的な取組内容は、以下の表になります。

    〈運航の改善に関わる主な取組内容〉

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    出所)国土交通省 「航空機運航分野におけるCO2削減に関する検討会」(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk8_000004.html)を加工して作成

    〈運航の改善に関する今後の主な取組例〉

     静止衛星を用いた衛星航法補強システム静止衛星(SBAS( Satellite-Based Augmentation System ))による進入方式を導入し、視界不良時において従来より滑走路近くまで進入を可能とすることで、着陸できる機会の増加を図っています。

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    出所)国土交通省 「航空機運航分野におけるCO2削減に関する検討会」(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk8_000004.html

    ここまでは、航空業界のカーボンニュートラルに向けた動きをご紹介しました。
    次の当社サービス紹介では、「環境」に関連したサービスとして「環境配慮型ロジスティクスサービス」をご紹介します。

       

     

    当社サービスのご紹介(環境配慮型ロジスティクスサービス)

     日通NECロジスティクスでは、これまでも環境配慮型のサービス提供を行ってきましたが、この度改めて “CO2排出量削減型”、“循環/省資源型”の2パターンでサービスの再構成を行いました。当社の品質評価センターを活用した輸送モードの見直しや輸送効率化によるCO2排出量削減、また適正包装による梱包・包装材削減といった省資源化等のサービスを紹介しています。

    環境配慮型ロジスティクスサービスの中から、「環境配慮型包装設計」と「日通NECLネットワーク便(簡易梱包・混載便)」をご紹介します。

    環境配慮型包装設計

     

    これまで培ってきた包装設計ノウハウを活用し、お客様の製品特性と環境に配慮した包装設計を提案します。

    包装の基本的機能は、流通時の外力(がいりょく)をはじめ、様々な環境条件から中身の物品を保護し最終需要者へ届けることです。

    包装に不足があるとその役割を果たせませんし、過剰だと無駄が出ます。この無駄は、包装資材、保管スペース、輸送効率に大きな影響を与えます。
    適正な包装をすることで、使用する資材量や資材コストの削減、また保管、輸送コストの削減、輸送効率の向上に繋がり、CO2排出量削減に貢献することが可能になります。

    当社では、これまで培ってきた包装設計ノウハウを活用し、お客様の製品特性と環境に配慮した包装設計を提案します

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    環境配慮型包装設計サービスのポイント
    • 包装仕様の改善は、物流コスト(輸送費、資材費、保管費)だけでなく、輸送効率を高めCO2排出量の削減にも貢献します。
    • 包装仕様を最適化することで、包装資材の省資源化や廃材処理の工数削減に繋がります。

    日通NECLネットワーク便(簡易梱包・混載便)

     

    当社のネットワーク便(簡易梱包・混載便)は、様々な精密機器を取り扱ってきたノウハウで、お客様の調達・生産・販売・回収をサポートします。

    当社のネットワーク便の特徴には以下のようなものがあります。

    • 定時定ルート・往復による当社輸送網での安定的な輸送を提供します。
    • 運賃は貸切便と路線便の中間程度になります。

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    • 精密機器を簡易的な梱包で混載輸送可能です。簡易梱包のため、梱包材の使用量を削減できます。
    • 簡易梱包でも貸切便と同等の品質で輸送します。品質面を考慮されて貸切便を選ばれているお客様でも、安心してお任せいただけます。
    • 路線便を使用するために木枠や強化段ボールで梱包されているお客様でも、当社の簡易梱包の混載輸送に切り替えて頂くことで、高コストの資材や、重労働の開梱・廃材処理作業を削減することが可能です。

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    • 低い積載率の貸切便で輸送している場合、高い積載率の混載便に切り替えて頂くことで、CO2排出量の削減に繋がります。

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    日通NECLネットワーク便(簡易梱包・混載便)のポイント
    • 精密機器の簡易梱包・混載輸送が得意です。
    • 簡易梱包でも貸切便と同等の品質で輸送します。
    • 路線便を使用するために木枠等で梱包されている場合、当社の混載便のご利用で、高コストの資材や開梱作業等の工数を削減することが出来ます。
    • 低い積載率の貸切便で輸送している場合、高い積載率の混載便に切り替えて頂くことで、CO2排出量の削減に繋がります。

    環境配慮型ロジスティクスサービスは、以下よりご覧いただけます。

     
    リンク: 環境配慮型ロジスティクスサービス

    ※記事の内容は掲載当時のものです。

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