目次
輸送費・燃料費・包装資材価格の最新動向を5分で把握
|物流マクロ市況2026年7月版
変化の激しい物流市況をデータで読み解く「物流マクロ市況レポート」の2026年7月版をお届けします。
・海上運賃は前年同月比+41.1ポイントと大幅上昇
・原油およびナフサ輸入価格が急騰
・段ボール、プラスチックフィルムが最高値を更新
など、今、把握しておくべき8つの重要指標を取り上げ分析しました。
本レポートでは、公的統計データに基づき、不透明な市況の「今」を客観的に可視化しています。複雑な市況環境を整理し、安定した物流運営を継続するためのヒントとしてご一読いただけますと幸いです。
物流関連指標
物流に関する次の9項目の市況をご紹介します。
・道路貨物輸送、宅配便、海上貨物輸送、航空貨物輸送価格指数
・原油価格(輸入)
・小売軽油価格
・倉庫価格指数
・事業用電力、都市ガス、上水道価格指数
・全国最低賃金
・ナフサ価格(輸入)
・物流用資材価格指数(段ボール箱、梱包用木材、プラスチックフィルム・シート
◆道路貨物輸送、宅配便、海上貨物輸送、航空貨物輸送価格指数
こちらの図1は、日本銀行の「企業向けサービス価格指数[2020年基準]」のデータから作成したグラフです。
航空貨物輸送は、ピークアウト傾向ですが、前年同月比では高水準です。
海上貨物輸送の7月は、再び上昇し170.4となり、1985年以来過去最高となりました。前年同月比でも+41.1ポイントと大幅に上昇しています。
道路貨物輸送の7月は、前年同月比で+4.9ポイントと上昇しました。宅配便は同水準で推移しています。
[図1]道路貨物輸送・宅配便・海上貨物輸送・航空貨物輸送価格指数
出所:日本銀行 企業向けサービス価格指数データ
(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=PR02)より当社作成(指数は最高値を使用)
※「企業向けサービス価格指数」とは、企業間で取引されるサービスに関する価格の変動を日銀が測定したもの。企業間での個々の商取引における値決めの参考指標としても利用されている。
◆原油価格(輸入)
こちらの図2は、財務省の貿易統計から作成した輸入の原油価格の推移です。
2025年11月より下降基調にありましたが、2026年3月から国際情勢不安の影響により価格が高騰し、4月、5月は急騰しています。5月は114,016円/キロリットルで、前年同月比では+67.1%の上昇となりました。6月速報値では、117,684円/キロリットルと更に上昇しています。
[図2]原油価格(輸入)
出所:財務省 貿易統計 概況品別統計品目表(輸入) (https://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm)より当社作成
※原油(HSコード270900900) ※確報値
◆小売軽油価格
こちらの図3は、資源エネルギー庁の石油製品調査の週次データから作成した小売軽油価格の推移です。
国際情勢不安から一時急騰しましたが、政府の「激変緩和措置」等により、2026年3月下旬から上昇が抑制されています。補助の財源が不足することから、ガソリン補助の水準170円/リットルの引き上げを求める声がありましたが、政府は引き続き170円程度に抑制していくと表明。軽油もこれに同期した水準となる予定です。
8月24日は159.3円で、前年同時期比(前年8月25日154.3円)で+5.0円の増加となりました。暦年での平均値は年々上昇の傾向です。
[図3]小売軽油価格
出所:経済産業省 資源エネルギー庁「石油製品価格調査」
(https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/)給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)の週次ファイルより当社作成。
※九州局の価格が高い理由:離島の多い長崎県および鹿児島県が引き上げている。製油所からの輸送コストがかかっていることが主要因。(日本の製油所は関東・関西に集中)
◆倉庫価格指数
こちらの図4は、国土交通省の不動産価格指数から作成した倉庫と工場の価格指数のグラフです。
2025年の倉庫(全国)価格指数の年平均は、2023年から7.9pt上昇しており、年々上昇傾向にあります。
最新の公表値では、2025年第4四半期の倉庫価格指数の前年同四半期比は、全国は▲2.1ptの減少であるものの、三大都市圏は+9.3ptの増加となりました。
ご参考に、工場の全国は、前年同四半期比▲8.6ptの減少となりました。
[図4]倉庫価格指数
出所:国土交通省 不動産価格指数(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html)
より当社作成(季節調整値を使用)。
※三大都市圏:南関東圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)、名古屋圏(岐阜・愛知・三重)および京阪神圏(京都・大阪・兵庫)の統合
◆事業用電力・都市ガス・上水道価格指数
こちらの図5は、日本銀行「国内企業物価指数[2020年基準]」のデータから作成したグラフです。
事業用電力、都市ガスは、1-3月は政府補助により減少傾向にありましたが、4月より上昇しています。
法人向け電気料金は、各電力会社によって時期や方法は異なりますが、中東情勢緊迫による燃料輸入価格上昇等への対応がはかられています。たとえば東京電力では、燃料高が速やかに反映されるよう4月から特別高圧・高圧の利用者用料金の算定方法を変更しています(これまでは過去3~5ヶ月で算出していた燃料費を過去1~1.5ヶ月に変更)。実態にあったタイミングでの料金となる反面、昨今の燃料高の状況においては企業の負担は今後も増えると見られています。
法人向けガス料金では、東京ガスが46年ぶりに値上げをすると発表しています。物価上昇による事業コスト高騰や省エネ進展等によるガス使用量の減少等が理由で、適用は10月(11月検針分から)となります。
使用量が多くなる7-9月において、電気・ガス料金の政府補助があるものの、9月は補助金が減額されることから、供給各社の値上げが影響していくことが見込まれます。
[図5]事業用電力・都市ガス・上水道価格指数
出所:日本銀行 国内企業物価指数データ
(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=PR01)より当社作成(指数は最高値を使用)
※「国内企業物価指数」とは、国内で生産した国内需要家向けの商品(財)が対象。生産者段階における出荷時点の生産者価格を日銀が調査したもの。
◆全国最低賃金
こちらの図6は、厚生労働省の全国最低賃金の推移です。最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定めたもので、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされています。
政策により最低賃金は上昇中です。2025年度は全都道府県が1000円を超える水準となりました。
2025年度の全国加重平均は1,121円でした。厚生労働省は、2026年度について、7月28日開催の中央最低賃金審議会で取りまとめた目安が1,176円(+55円)であることを発表しました。今後さらに審議等が行われ、各都道府県労働局長が地域別の最低賃金額を決定していきます。
政府は2030年代前半で1500円にする目標を掲げています。
[図6]全国最低賃金
出所:厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/)より当社作成 ※全国最低賃金は加重平均による算出。
◆ナフサ価格(輸入)
ナフサはポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチック等の原料で原油から精製されます。物流でよく使用する資材類の原料となります(図7ご参照)。
[図7]ナフサを原料とする石油化学製品から出来る物流包装資材
こちらの図8は、財務省の貿易統計から作成した輸入のナフサ価格の推移です。
国際情勢不安等により3月から上昇し、4月、5月はキロリットルあたり10万円台へ急騰しました。5月は123,732円/キロリットルとなり原油価格を上回りました(前回上回ったのは4年前の2022年4月です)。前年同月比では+97.2%の大幅な上昇となりました。
[図8]ナフサ価格(輸入)
出所:財務省 貿易統計 概況品別統計品目表(輸入)
(https://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm)より当社作成(確報値を使用)
※ナフサ(HSコード271012181)
◆包装・梱包材価格指数(段ボール箱、梱包用木材、プラスチックフィルム・シート)
こちらの図9は、包装・梱包資材として多く使われる段ボール箱、梱包用木材、ストレッチフィルムを含むプラスチックフィルム・シートの、国内出荷の価格指数と輸入の価格指数の推移です。先述の事業用電力などと同様の日本銀行「国内企業物価指数[2020年基準]」を使用して作成しています。
段ボール箱、梱包用木材は2021、2022年から上昇し、2026年1-7月も高止まりが継続しています。プラスチックフィルム・シートは3月から上昇基調です。
7月の各指数は1980年以来の過去最高値となりました。
[図9]プラスチックフィルム・シート価格指数
出所:日本銀行 国内企業物価指数データ
(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=PR01)より当社作成(指数は最高値を使用)
※「国内企業物価指数」とは、国内で生産した国内需要家向けの商品(財)が対象。生産者段階における出荷時点の生産者価格を日銀が調査したもの。
プラスチックフィルム・シートは輸入も多いことから、図10で輸入物価指数もご紹介します。
中東情勢不安による原油価格高騰や原料であるナフサの供給不安などで価格が上昇しています。
生産者段階における出荷時点の価格指数(国内企業物価指数)は、140.2で前年同月比+16%の上昇となりました。輸入物価指数は、円ベースは166.9で前年同月比+23%、契約通貨ベースは前年同月比で+13%の上昇となりました。各指数の前月比は、▲3%~+2%の範囲での変化となり大きな動きはありませんでした。
[図10]プラスチックフィルム・シート価格指数
出所:日本銀行 国内企業物価指数データ
(https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=PR01)より当社作成(指数は最高値を使用)
※「国内企業物価指数」とは、国内で生産した国内需要家向けの商品(財)が対象。生産者段階における出荷時点の生産者価格を日銀が調査したもの。
以上、ここまで『物流マクロ市況』をお届けしました。お読みいただきありがとうございました。
各データの公表時期が分かれるためデータの時期にばらつきはありますが、現在の状況把握のお役に立てればと思います。今後もさまざまな視点から物流マクロ市況をレポートしていきたいと思いますので、次回もお読みいただければ嬉しく思います。
※なお、当記事でご紹介するデータは記事作成時点(2026年8月28日)で公表されているものです。公表後に修正される可能性がございますので、ご利用の際は情報元にアクセスいただきご確認いただくことをおすすめいたします。


