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News Letter
2022年8月8日号

   

トピックス(インフラの老朽化問題)

 日本は厳しい地質条件により、洪水・土砂災害、地震・火山活動が多く発生しています。地球温暖化が進んでいることで、大雨や短時間強雨の回数も増加しています。
 特に、地震については、南海トラフ巨大地震の発生確率が、今後30年以内で70~80%とされるなど、自然災害に対する対策の必要性は高まっていると言えます。

 近年、頻発化・激甚化する自然災害により、鉄道路線の長期不通や空港の長期機能停止など、国民生活・経済活動の基盤である社会インフラの脆弱性を露呈する事象が多発しています。
 さらに懸念すべき事項として、日本の道路、港湾等のインフラは高度経済成長期に集中的に整備されたものが多く、老朽化が進んでいます。災害時に重要な役割を果たすインフラの維持管理や更新も喫緊の課題となっています。 
 下の図は、高度成長期以降に整備されたインフラについて、建設後50年以上経過するものの割合を示したものです。今後20年間で加速度的に高くなるということを表しています。

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 これら老朽化が進むインフラの維持管理・更新を計画的に推進するため、国は、『インフラ長寿命化基本計画』を取りまとめています。各省庁は、この基本計画に基づいた行動計画を順次策定しています。また、産学官民によるプラットフォーム「インフラメンテナンス国民会議」が設立されるなど、このインフラ老朽化問題への取り組みが社会全体で進んでいます。

 以下では、当社が荷主様と共同で倉庫における事業継続対策の検証と対応を行なった事例をご紹介します。

   

災害時の倉庫における事業継続対策の検証と対応

 当社は、災害時の事業継続(BCP:Business Continuity Planning)対策の一環として、倉庫の製品用保管棚に関し、構内作業員の安全確保と製品落下防止の観点から、地震対策の有効性について荷主様と共同で加振実験を行い検証しました。

製品保管棚の転倒防止

 本来、保管棚を固定するにはアンカーボルトでの固定が一般的ですが、賃貸物件では床への加工不可物件もあり汎用的対策が必要となります。
 加振実験の1回目は棚間を連結している鉄骨L字アングル1本では棚を支えきれず折れ曲がることが分かりました。2回目の実験では、棚間にブレスを入れる事で棚転倒防止対策の強度を増すことができました。
(震度5強、1000Gal迄耐震性あり)

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製品の落下防止

 中量棚保管は、製品の出し入れが容易な反面、地震による製品落下のリスクが高い保管方法ともいえます。
実際、振動台での実験を行った結果、
  ①棚全面に防護ネットを張ってもネット自体たわみが生じて落下防止にならない
  ②背合わせ棚の場合揺れによっては製品を押し出す形で落下する
ということが分かり、落下対策は棚全体ではなく保管する間口単位で検討する必要があることが判明しました。

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当社の取り組み

 加震実験を通じて得た結果から、以下の対策を実施
しました。
①各間口ごと落下防止用金網設置(前面落下防止)
②背合わせ部は仕切り板を設置(後方からの押出防止)
③耐震補強(保管棚の転落防止)
 (震度5強、1000Gal迄耐震性あり)

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編集後記

今回は、日本の倉庫の地震対策を中心とした内容となりましたが、海外に目を向けますと、海外でも異常気象や地震による災害は多く発生しています。 

その中で、2011年のタイの大洪水では、水没した工業団地は7箇所、1000以上の工場が被災しました。

当社のお客様の工場も被災され、当社タイ法人では、まずはなんと言っても第一に人命の安全確保・確認を協力して対応させていただきました。
被災したお客様スタッフの救助のためボートの手配や、住居手配なども行わせていただきました。
続いてお客様のサプライチェーンを止めない為に、製品の搬出や海外への移送、安全な場所での保管倉庫の手配など物流面で全面的にサポートさせていただきました。

当時、私は日本にいて、大洪水で信じられない姿になった工業団地で、お客様と一緒に当社タイ法人スタッフがボートを漕いでいる状況写真を見て、緊張したのを覚えています。

同年の東日本大震災など、甚大な被害をもたらしたこうした災害に対して、私たちは「過去の不幸な出来事」という捉え方をせず、「今後起こるであろう災害に備えての教訓」として捉えたいと思います。 
今後は様々な災害に対しての対応を繰り返し検討、検証していくことが大切だと感じました。

ご興味のある内容がございましたら、ぜひ、お気軽に弊社営業担当へお声がけくださいませ。
今回も、当ニュースレターをお読み頂きありがとうございます。