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『物流マクロ市況』(日本)を解説

目次

    『物流マクロ市況』(日本)を解説


    今年最初のブログは、モノを運べなくなる危機が予測され注目を集めている「物流」について、関係する各種指標やデータを用い、物流業界に関する経済状況・市場動向を解説する「物流マクロ市況」をお届けします。
    お時間がありましたらぜひお読みください。 

     

    はじめに:物流に影響を与える要素

    図1の概略図のように、経済指標や需給(需要と供給)は生産動向に関わり貨物の動きや量に大きく影響します。国内外の規制や政策、国際貿易情勢、天候、インフラ、労働力などは物流事業に直接影響を与えます。今回ご紹介する指標がすべてではありませんが、こうした観点から関連する個々の指標をお届けします。

    [図1]物流に影響を与える要素
    2025topix_2

    図:当社作成

     

    物流マクロ市況:日本経済、各物流指標

    ①日本経済

    最初に日本経済の状況です。
    日本は、新型コロナウイルス感染症からのゆるやかな経済回復で、企業収益は好調です。
    2024年1-3月期では、全規模・全産業の経常利益・営業利益はともに過去最高を更新しました。対売上高利益率も同様に過去最高となりました(図2ご参照)。

    [図2]全規模全産業の企業収益と売上高利益率
    2025topix_3

    出所:内閣府「令和6年度 年次経済財政報告」(https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je24/index.html)

    2023年のデータでは、製造業、非製造業ともに売上原価は増加しましたが、価格転嫁の進展などもあり原価以上の売上増加が収益増加に寄与しているという分析がされています。

    ちなみに家計部門では、自動車・家電は持ち直し、食料品などの非耐久財は物価上昇の影響で名目消費(金額ベース)は増加で実質消費(数量ベース)は減少、サービスでは宿泊は人手不足などで供給に制約、外食は客足が落ちるも売上はコロナ禍以前に回復、といった状況です。

    ②物流関連指標

    次に、物流に関する次の8項目の市況をご紹介します。

    ・道路貨物輸送、宅配便、海上貨物輸送、航空貨物輸送価格指数
    ・原油価格(輸入)
    ・小売軽油価格
    ・倉庫価格指数
    ・事業用電力、都市ガス、上水道価格指数
    ・全国最低賃金
    ・段ボール箱、梱包用木材価格指数
    ・ナフサ価格(輸入)

    ◆道路貨物輸送、宅配便、海上貨物輸送、航空貨物輸送価格指数

    こちらの図3は、企業間で取引されるサービス価格の変動を日本銀行が測定した「企業向けサービス価格指数[2020年基準]」のデータから作成したグラフです。
    道路貨物輸送、宅配便は2019年に上昇した後、高止まりで推移しています。
    海上・航空貨物輸送は、10月に上昇したものの、11月はやや下降しています。ちなみにこのグラフ上のデータではありませんが、この冬は上昇が見込まれる為、引き続き注意が必要な状況です。

    [図3]道路貨物輸送・宅配便・海上貨物輸送・航空貨物輸送価格指数
    2025topix_4_2

    出所:日本銀行 企業向けサービス価格指数データ
    https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=PR02)より当社作成(指数は最高値を使用)
    ※「企業向けサービス価格指数」とは、企業間で取引されるサービスに関する価格の変動を日銀が測定したもの。企業間での個々の商取引における値決めの参考指標としても利用されている。

    ◆原油価格(輸入)

    こちらの図4は、財務省の貿易統計から作成した輸入の原油価格の推移です。
    2024年以降は7月をピークに減少傾向です。
    11月は75,154円/キロリットルで、前年同月比では▲15%と減少しました。

    [図4]原油価格(輸入)
    2025topix_5

    出所:財務省 貿易統計 概況品別統計品目表(輸入) (https://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm)より当社作成(確報値を使用)
    ※原油(HSコード270900900)


    ◆小売軽油価格

    こちらの図5は、資源エネルギー庁の石油製品調査の週次データから作成した小売軽油価格の推移です。
    2025年1月20日は164.7円/リットルで、前年の同時期と比べ+6.4%と増加しました。2年前の同時期と比べると+11.1%と大きく上昇しています。

    [図5]小売軽油価格
    2025topix_6

    出所:経済産業省 資源エネルギー庁「石油製品価格調査」
    https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/)給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)の週次ファイルより当社作成。
    ※九州局の価格が高い理由:離島の多い長崎県および鹿児島県が引き上げている。製油所からの輸送コストがかかっていることが主要因。(日本の製油所は関東・関西に集中)

    ◆倉庫価格指数

    こちらの図6は、国土交通省の不動産価格指数から作成した倉庫と工場の価格指数のグラフです。
    2024年第3四半期の倉庫価格指数は、全国、三大都市圏ともに減少しました。工場価格指数は、全国、三大都市圏ともに大幅に上昇しました。

    [図6]倉庫価格指数
    2025topix_7

    出所:国土交通省 不動産価格指数(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
    より当社作成(季節調整値を使用)。
    ※三大都市圏:南関東圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)、名古屋圏(岐阜・愛知・三重)および京阪神圏(京都・大阪・兵庫)の統合。

    ◆事業用電力・都市ガス・上水道価格指数

    こちらの図7は、生産者段階における出荷時点の生産者価格を日本銀行が調査した「国内企業物価指数[2020年基準]」のデータから作成したグラフです。
    2024年12月の事業用電力・都市ガスは、政府による電気・ガス料金への補助金が一旦終了したことにより大幅に上昇しました。ロシアのウクライナ侵攻後の価格上昇は、政府の補助により抑制されてきましたが侵攻前と比較すると高水準が継続しています。ちなみに、政府は2025年1-3月で補助を再開する予定です。

    [図7]事業用電力・都市ガス・上水道価格指数
    2025topix_8

    出所:日本銀行 国内企業物価指数データ
    https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=PR01)より当社作成(指数は最高値を使用)
    ※「国内企業物価指数」とは、国内で生産した国内需要家向けの商品(財)が対象。生産者段階における出荷時点の生産者価格を日銀が調査したもの。

    ◆全国最低賃金

    こちらの図8は、厚生労働省の全国最低賃金の推移です。
    最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定めたもので、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされています。
    政策により最低賃金は上昇中です。
    2030年代半ばまでに1500円にする目標が出されています。

    [図8]全国最低賃金
    2025topix_9

    出所:厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
    (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/)より当社作成
    ※全国最低賃金は加重平均による算出。


    ◆段ボール箱・梱包用木材価格指数

    こちらの図9は、段ボール箱や梱包用木材といった物流で使用する資材の価格指数の推移です。先述の事業用電力などと同様の日本銀行による「国内企業物価指数[2020年基準]」を使用して作成しています。
    2021年から急上昇し、そのまま高水準で推移を続けています。

    [図9]段ボール箱・梱包用木材価格指数
    2025topix_10

    出所:日本銀行 国内企業物価指数データ
    https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=PR01)より当社作成(指数は最高値を使用)
    ※「国内企業物価指数」とは、国内で生産した国内需要家向けの商品(財)が対象。生産者段階における出荷時点の生産者価格を日銀が調査したもの。

    ◆ナフサ価格(輸入)

    こちらの図10は、財務省の貿易統計から作成した輸入のナフサ価格の推移です。ナフサはポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチック等の原料で原油から精製されます。物流でよく使用する資材類の原料となります。
    2024年11月は73,029円/キロリットルで、前年同月比で+1%とわずかに上昇しました。

    [図10]ナフサ価格(輸入)
    2025topix_11

    出所:財務省 貿易統計 概況品別統計品目表(輸入) “3” 鉱物性燃料
    https://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm)より当社作成(確報値を使用)
    ※ナフサ(HSコード271012181) 

    直近の物流トピックス:物流2024年問題 混乱の現在地

    物流マクロ市況では、今回ご紹介したものの他にも様々な物流関連データを調査します。それらのデータを使用し、規制が施行された2024年4月以降のトラック輸送業界の状況をご紹介します。

    「物流の2024年問題」とは?

    2024年4月からドライバーに時間外上限規制が適用されること、また、改善基準告示改正で拘束時間短縮などが適用されることから輸送能力の不足が想定
     
    具体的な対応を行わなかった場合、輸送能力は、2024年度には約14%不足(約4億トン相当)、2030年度には約34%不足(約9億トン相当)する可能性が報告。

    ※不足値:コロナ感染拡大以前の2019年度との比較
    (国土交通省「持続可能な物流の実現に向けた検討会」より)

    2024年4月~トラック輸送業界の状況

    残業規制後も、車両の大型化、共同配送などによる輸送効率化や適正な運賃設定が荷主の理解を得て徐々に進み、前年度と同水準の輸送力を維持(2024年10月現在)。

    [図11]トラック輸送業界の状況
    2025topix_12_3

    図:当社作成

    以上、ここまで『物流マクロ市況』をお届けしました。お読みいただきありがとうございました。

    各データの公表時期が分かれるためデータの時期にばらつきはありますが、現在の状況把握のお役に立てればと思います。今後もさまざまな視点から物流マクロ市況をレポートしていきたいと思いますので、次回もお読みいただければ嬉しく思います。

    ※なお、当記事でご紹介するデータは記事作成時点(2025年1月24日)で公表されているものです。公表後に修正される可能性がございますので、ご利用の際は情報元にアクセスいただきご確認頂くことをおすすめいたします。

    (執筆は2025年1月24日時点で、情報は変わる可能性があります。)

     

    さて、ここからは、当社の物流サービスである輸送ネットワーク便について、ソリューション事例も交えてご紹介します。物流2024年問題への対応や環境配慮にも繋がる当社注力サービスです。

    当社関連サービスのご紹介

     

    全国輸送ネットワーク便(簡易梱包・混載便)

    様々な精密機器を取り扱ってきたノウハウで、お客様の調達・生産・販売・回収を支える当社のネットワーク便(簡易梱包・混載便)は次のような特徴があります。

    • 定時定ルート・往復・全国輸送網による安定的な輸送を提供します。
    • 運賃は貸切便と路線便の中間程度になります。※集荷・配送料金を除く
    • 精密機器を簡易的な梱包で輸送可能です。簡易梱包のため、梱包材の使用量を抑制できます。
    • 簡易梱包でも貸切便と同等の品質で輸送します。品質面を考慮されて貸切便を選ばれているお客様でも、安心してお任せいただけます。
    • 路線便を使用するために木枠梱包をされているお客様でも、当社の簡易梱包の混載輸送に切り替えて頂くことで、木枠の開梱作業や廃材処理を抑制することが可能です。
    • 低い積載率の貸切便で輸送している場合、積載率を上げた混載便をご利用いただくことで、CO2排出量の削減に繋がります。

    このネットワーク便を活用したお客様のサプライチェーンに最適な輸送網の設計・構築・運用提案の事例も多々ございます。サプライチェーン見直しや、2024年問題による長距離輸送の確保難などお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

    ネットワーク便の品質とコストのイメージ   簡易梱包のイメージ

    202308_service1

    202308_service2

     

     

    持続可能な物流に繋がるソリューション事例のご紹介

    当社で輸送網の設計、構築、運用まで携わらせていただいた事例をご紹介します。本事例では、調達物流、生産物流(工程間輸送)、販売物流の領域でご活用頂いています。当社の輸送網(ネットワーク便)を起用いただくことで、長距離輸送の確保難に対応し、お客様の手配工数軽減にも貢献させて頂いた事例です。

    調達物流・販売物流での当社輸送網の活用事例
    〇お客様の課題
     ①都度チャーター便手配だと事務工数およびコスト負担が重い
     ②運行状況の確認が煩雑
     ③2024年問題による長距離輸送の確保難に備えたい
    〇当社の提案
     ①電機精密機器との混載便による従量制料金体系
     ②定時・定ルートによる安定運行
     ③当社独自+NXグループの輸送ネットワークで輸送力を確保

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    生産物流(工程間輸送)での当社輸送網の活用事例

    〇お客様の課題
     ①お客様の生産増への対応(荷量変動)が必要
     ②長距離輸送の確保が難しくなっている
     ③近年の物流コスト増による収支への影響が心配
    〇当社の提案
     ①荷量変動に対応した当社の輸送ネットワーク
     ②中継輸送による長距離輸送の確保難に対応
     ③電機精密機器の混載便を利用した従量料金体系

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    このほか、様々なソリューション・事例がございますので、ご興味がありましたらお気軽に当社営業、または当WEBサイトの「お問合せ」よりご連絡いただけましたら幸いです。

     

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