Nittsu NEC Logistics News Letter
2023年2月号
INDEX
- トピックス:台湾最新ビジネス動向
- 関連物流サービスのご紹介:台湾社 物流ソリューション
- フォワーディングニュース:航空、海上
- 編集後記
トピックス:台湾最新ビジネス動向
海外シリーズ第四弾では、台湾を取り上げます。台湾には多くの日系企業が進出し、日・台の貿易も堅調です。昨今、地政学リスクの1つとして注目されることが多い台湾ですが、ここでは台湾で物流事業を行なう当社の視点で、台湾のビジネス動向を紐解き、ポイントを絞ってご紹介していきます。どうぞ最後までお付き合い頂けますようお願いいたします。

台湾の基本情報
台湾は、九州よりもやや小さい面積で、人口は日本の5分の1くらいです。2021年通年の実質GDP成長率は、前年比6.5%増という11年ぶりの高成長を見せました。これは半導体の輸出や半導体受託生産世界最大手のTSMC社の活発な設備投資によるものと言われています。2022年後半から2023年は、コロナ特需が一服し半導体在庫が積み上がることで減産となり2021年ほど伸びないと予測されています。

出所:「台湾 基礎データ」(外務省)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taiwan/index.html)、「海外進出日系企業拠点数調査」(外務省)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page22_003410.html)を基に作成
台湾における日系企業進出の傾向
台湾企業には、TSMCやUMCといった半導体受託製造、電子機器製造受託の鴻海精密工業、電気メーカーのQUANTA、ACER、ASUSといった世界有数の製造メーカーが名を連ねています。進出する日系企業も製造業中心、という印象が強いと思いますが、ここ最近は非製造業の小売やサービス業の割合が増加しています。
下のグラフは、2019年と2021年の業種別進出拠点数です。比べると、製造業の割合が減り、卸売/小売業やサービス業の比率が増えていることが分かります。

出所:「海外進出日系企業拠点数調査」(外務省)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page22_003410.html)を基に作成
また、台湾に進出している日系企業アンケートでは、「今後の事業展開」で販売機能を拡大すると答えた企業は70%を超えています。一方で、生産機能を拡大すると答えた企業は、高付加価値品では19.1%、汎用品では5.7%にとどまっています。

出所:2022年度海外進出日系企業実態調査 アジア・オセアニア編(JETRO)(https://www.jetro.go.jp/world/reports/2022/01/e98672da58f93cd3.html)を基に作成
“非”製造業で旺盛な対台湾投資
昨今の日系企業の対台湾投資は非製造業が目立っています。以下は2022年~2023年開業の事例です。
- 三井不動産が三井アウトレットパークを台南エリアで2022年2月にオープン。三井アウトレットパークは、これで台湾3大都市圏(台北、台中、南部)すべてで開業となる。2023年春には、ショッピングセンターのららぽーとを台中で初出店。台湾初進出も含む日本ブランドが多数出店予定。2026年には高雄で開業予定。
- ドン・キホーテが海外店舗「DON DON DONKI」を高雄で2023年の10~12月の間にオープンすることを発表。売り場面積1,000坪で台湾最大規模となる予定。
- ダイソーが生活雑貨ブランド300円ショップを2022年12月、台湾に初出店。
- 八木通商がヘアアクセサリーブランド「アレクサドルドゥパリ」の台湾店舗数の拡大を2023年1月に発表。
- 相鉄グループが台北に200室のホテルを2023年春に開業予定。
- 台湾ファミリーマートがカフェ1号店を2022年12月に台北でプレオープン。台北市内で出店を進める計画。
出所:各社プレスリリース、各社WEBサイトを基に作成
小売業やサービス業の日系企業が増える背景
特に小売業やサービス業について言いますと、台湾での旺盛な消費傾向や、「日本」というブランド価値を活かせること、さらに大きなマーケットである中国や東南アジア進出の足掛かりとして最適なため、日系企業の進出が増加していると考えられます。また、法人税率が20%*と低いことや、付加価値税率(消費税率)が5%と低く駐在員も生活しやすいという税制面でのメリットも見られます。
*法人税率・・・台湾では「営利事業所所得税」と言い、課税所得額が12万台湾元以下だと免税、12万台湾元を超えると20%となる。ちなみに中国の法人税「企業所得税」は25%。
販売における物流課題
台湾は、台湾本島だけのイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、実は日本と同じように多くの島々で構成されています。台湾本島を中心に、澎湖列島、金門群島、馬祖列島といった島や無人島を含めて多数の島があります。小売業や飲食業などで多店舗・同時展開(発売)する場合などはこの本島以外への展開がネックになることがあります。
当社の台湾社では、台湾全島向けの物流ソリューションを提供しております。事例もございますので、お気軽にご相談ください。
次項から台湾社のサービスを紹介します。
台湾社 物流ソリューションのご紹介
数十年前の台湾は、日本から地理的に近いこと、製造コストが安いこと等から、日系の製造業の多くが台湾での製造/組立/出荷のビジネスモデルで進出していました。
当社は1999年に法人を設立し、NECグループのコンピュータ、通信機器、システム機器、半導体、電子部品など台湾での販売活動を支える物流業務の経験をもとに、きめ細やかで高品質な倉庫オペレーション、全島配送ネットワーク、管理システムを構築し、ITや流通といった非製造業様にも物流ソリューションを提供し、台湾でのビジネス拡大を支援しております。
多店舗・多拠点向け機器展開ソリューション
こんなお悩みはありませんか?
・複数機器の一元管理を行い、短期間で一括納品して欲しい
・店舗での納品作業を簡素化したい
・商品の個体管理やトレーサビリティを新たに運用したい
・旧機器及び修理品の回収工数を減らしたい
台湾社では、複数機器を一元管理し、納品日程に合わせて台湾全島店舗へ一括配送いたします。多店舗配送にかかわる煩わしい手配や納品管理を、台湾社がワンストップで行います。
半導体・電子部品を取り扱っている防塵対策済み空調倉庫のため、セキュリティのきいた綺麗な環境で、POSや通信機器などの精密機器から、衣料や化粧品、宝飾品などの個人消費向け商品も安心してお任せいただけます。

多岐にわたるお客様商材の取り扱い事例

次は、ここまでご紹介した台湾社倉庫の付加価値を活かした「非居住者在庫オペレーション倉庫サービス」をご紹介します。
非居住者在庫オペレーション倉庫サービス
こんなお悩みはありませんか?
・台湾に拠点を設立せず、台湾で在庫を持ちたい
・台湾の製造メーカーへ材料を支給し、その材料を使用した加工を台湾で行いたい
・製品販売の輸送リードタイムを短縮したい
台湾社では、台湾に現地法人をお持ちでないお客様にグローバル在庫集約による棚卸適正化、供給リードタイム短縮など商流・物流に関する様々なご要望にお応えします。


台湾進出企業サポート
貿易コンサルティングや台湾進出に関するお悩みは台湾社へご相談ください。
貿易コンサルティングは日本法人でも対応可能です。
台湾社基本情報
日通NECロジスティクス 台湾
(台灣日通日電物流股份有限公司)
(Nippon Express NEC Logistics Taiwan Ltd.)
住所: 台北市復興北路181號15樓-1
15F-1, No.181, Fu Hsing North Road, Taipei, Taiwan, R.O.C
電話: 886-2-2712-2465

・現地から一言 : 日本語が話せる現地スタッフがご相談を承ります!お気軽にご相談ください。
・台湾社WEBサイト: http://www.nipponexpress-necl.tw/
・台湾物流サービス紹介サイト: https://www.nittsu-necl.co.jp/solution/global/e-asia/
台湾社ニュース
2023 International Conference on Electronics Packaging (ICEP 2023)に出展します。
https://www.jiep.or.jp/icep/index.html
会期:2023年4月19日~22日
会場:市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)※オンサイトのみ
フォワーディングニュース(航空輸送)
米国向け
・北米西岸労使協約は2022年6月30日をもって失効しており、今後の労使交渉次第では状況が大きく変わる可能性があるため、引き続き注意が必要です。
・1月に続き貨物需要は強くなく軟調に推移することが見込まれますが、労使交渉の動き次第では変動する可能性があります。また、春節以降のアジア発の荷動き次第ではスペース状況や運賃が変動することも考えられます。
欧州向け
・海上輸送へ回帰する案件も多く、貨物需要は年始に引き続き軟調に推移しています。旅客便を中心に復便が進んでいますが、大幅な貨物輸送スペース拡張は見込まれないと想定されます。
・フランスでストライキが発生するも航空輸送に大きな影響は見られませんでした。今後規模が拡大する可能性もあり、欧州域内の配送やフライト状況に注視が必要です。
・EUにおける環境負荷低減策の厳格化により、使い捨てプラスチックに対する課税制度など、輸入国の環境規制を確認する等出荷前確認が求められます。
アジア向け
・上海向けは、貨物需要が軟調なため、フライトの復便は完全ではないものの、スペースに余裕はあります。保冷品・危険品についての受託制限は緩和されつつありますが、運賃は依然として高騰しています。中国他空港向けも同様の状況です。中国におけるゼロコロナ政策緩和により、中国各地でコロナウィルスが急速に蔓延、春節以降収束に向かうとの予想でありますが、収束しない場合は突発的なフライトキャンセル等のイレギュラーに繋がる恐れもあります。
・香港向けは、中国華南地域への転送貨物の需要が弱く、スペースには比較的余裕があります。
・台湾向けは、貨物需要は堅調ですが、半導体関連の荷動きは軟調です。スペースの確保は基本的には可能です。
・韓国向けの貨物需要は堅調です。成田・関西空港発ともに通関同日フライトは混雑しています。
・南アジアは、海上輸送へ回帰する案件も多く、全体的に貨物需要は軟調です。インド、インドネシア向けを中心に、一部自動車関連の出荷は堅調に推移しています。
フォワーディングニュース(海上輸送:マーケット状況)
直近の動向
・アジア発欧米向け・アジア域内航路のコンテナ荷動きは鈍化傾向が継続し、港湾混雑が改善しています。
・スポット運賃は軟化傾向から一段落し底打ちの様相を見せています。北米西岸労使交渉は依然妥結の気配はありません。
※ご参考 コンテナ運賃の種類
契約運賃:船会社と荷主・フォワーダー間で輸送数量等を中長期契約をおこない、定額運賃を定めたもの。
スポット運賃:需給バランスで都度変更する運賃で、運賃トレンドを確認するソースとして認知されているもの。
主なポイント
・アジア発欧米諸国向けのコンテナ運賃は、これまでの軟化傾向から一段落し、底打ち感が出てきています。航路によっては小幅な増減があるものの、年明けからほぼ横ばいで推移しています。
・世界コンテナ取扱量上位20港における昨年(2022年)12月の平均在港時間は 1.91 日と前年同月比24%減(前月比4.4%増)でした。平均停泊時間は 1.37 日で前年同月比19.8%減(前月比1.6%増)でした。
・上海港における2022年のコンテナ取扱量(速報値)は前年比0.6%増加し 4,730 万TEUを記録、13年連続で世界一となりました。
編集後記
今回も、当ニュースレターをお読み頂きありがとうございます。
今回のテーマは台湾最新ビジネス動向でした。
台湾と言えば半導体ということで、当初は台湾社の半導体・電子部品向けサービス中心の記事をイメージして構成に着手しました。しかし、最新動向を調査していくうちに、非製造業に焦点をあてることとなり、想定外でしたが興味深い結果になりました。
引き続き、国内外のトピックスを掘り起こし皆様にお届け出来ればと思いますので、次回もお読みいただければ嬉しく思います。
バックナンバーはWEBからお読みいただけるようになりました。
ご興味ありそうな方へご紹介いただけましたら幸いです。
- 上海ロックダウン後の物流 (2022年6月号)
- 気候変動に関連した情報開示動向 (2022年7月号)
- デジタル田園都市国家構想 (2022年8月号)
- インフラ老朽化 / 倉庫におけるBCP対策の検証と対応 (2022年8月8日号)
- CO2排出量削減における鉄道貨物輸送への期待 (2022年9月号)
- タイの国家戦略「タイランド4.0」と「EEC」 (2022年10月号)
- 物流の2024年問題 (2022年11月号)
- シンガポールで今、倉庫アウトソーシングをおすすめする理由とは (2022年11月29日号)
- 2022年を振り返って(経済安保、物価上昇) (2022年12月号)
- 日本の社会インフラ老朽化問題への取り組み(2023年1月号)